中島央監督の近未来SF『シークレット・チルドレン』 お気に入りシーン6選

操体サロンのアミケンです。

アメリカで活躍する日本人映画監督・中島央(Hiroshi Nakajima)がメガホンをとった近未来SF作『シークレット・チルドレン』(The Secret Children)をご存知でしょうか?

私は中島監督とは、共通の知人を介して数年前に知り合い、自宅に遊びに来てくれたこともあるのですが、彼はいつも情熱的で、勉強熱心で、チャレンジ精神に満ちた人で、応援したくなる超ナイスガイです。

そんな中島監督の『シークレット・チルドレン』ですが、昨年5月に公開され、今年の6月にはDVDもリリースされました。
最近はケーブルTV・ひかりTV等のFOXチャンネルでも放送されています。

シークレット・チルドレンの概要

シークレット・チルドレンは、ジャンル的には「近未来SF」に分類されます。 ……というと、『ターミネーター』や『ロボコップ』のようなハデな作品を想像するかもしれませんが、本作ではCGやアクションシーンはほとんどなく、登場人物たちによる人間模様でみせていくドラマ仕立ての映画になってます。

主人公はシークレット・チルドレンと呼ばれるクローン人間たち。
彼らは人間社会の中で平和に共存していたものの、突如はじまった政府によるクローン廃絶政策により迫害を受けてしまいます。
レジスタンスを結成し、なんとか生き延びようともがき続けます。

今回は『シークレット・チルドレン』の中から個人的にお気に入りのシーンをいくつか紹介しようと思います!


(1)新人捜査官ジョセフのハードすぎる初仕事

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クローンの捕獲を任命された新人捜査官のジョセフ。
OJTで彼が見学に訪れたクローン処刑場で居合わせたのは、少年時代に自宅で働いてくれていた庭師さんだった!…というシーン。

刑務官に「彼は悪い人じゃないんだ。見逃してあげてほしい」と処刑の回避を懇願するジョセフ。
そんなジョセフに対し、「君の初仕事だ」銃を差し出し、処刑を促す非情な刑務官。

かつて共存していた人間とクローンが、善悪に関係なく捉える側と捉えられる側に分かれてしまった現実の厳しさを痛感する場面ですね。

そもそも捜査官と刑務官は、職域が異なるはず。
しかしクローンに対してはそんなことは関係なく、裁判も受けられず、捕獲=処刑を意味する世界なんだということがこのシーンで説明されています。


(2)クールすぎる美人ジャーナリストの塩対応

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TVキャスターとして活躍する女性ジャーナリストのエレーヌ。
クローンのランスは、決死の覚悟で彼女の車を止め、直談判を試みます。
「クローンから見た現状をTVで国民に伝えてほしい」
しかし彼女の返事は「私の一存では決められない」…という、この上なくサラリーマン的な答え。

エレーヌ役のアリーズ・マリーは、独特の妖艶なオーラを放つ個性的な女優さん。
彼女なら、きっと何かやってくれるかも?という予感を漂わせさせながら、検討すらもしてくれないという意外性がシビれるシーンです。


(3)隠れ家の場所がバレた!逃げるか、それとも…

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迫害を逃れ、点在する隠れ家に潜伏するクローンのレジスタンスたち。
ある時、彼らの居場所が密告者によってバレてしまいます。

隠れ家の管理人であるドミニクは「ここも危ない、今すぐここを離れよう」と仲間へ訴えるものの、仲間からは「イヤよ!私に触らないで!」と思わぬブチキレ反抗にあってしまいます。
支離滅裂なシーンのように感じますが、先の見えない逃避行生活を続けるしかない人間の心理というのは、ひょんなキッカケでこのように狂ってしまうものなのかもしれません。

仲間からの想定外のブチキレっぷりに、オロオロするしかないドミニクの表情が素晴らしいシーンです(笑)


(4)人情派のクローン捜査官と、その部下ジョセフ

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人間のジュリエットとクローンのカールは恋人同士。
引き裂かれる運命の二人のもとに、クローン捜査官がやってくるシーン。

捜査官ジョセフ「あなたの恋人を捕まえにきました。中に入らせてもらいます。いいですね?」
ジュリエット「彼と最後のお別れをするから、5分だけ待って!」
捜査官ジョセフ「残念ながら、法律違反になりますので……」
ジョセフの上司「わかりました。5分ですよ」
捜査官ジョセフ「………」

ジョセフ役の俳優さん、良い味だしてます(笑)


(5)本当に楽しんでる?真夜中のキャッチボール

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政府の弾圧から、逃げるだけのアングラな生活に疲れてしまったクローンのギル。
彼は政府に仲間の隠れ場所をリークする見返りに、人間としての地位を手に入れようとします。

「人間になれたら、キャッチボールがしたい」と夢を語るシーン。
なぜか周囲は夜。キャッチボール相手は不明。1~2mほどの至近距離にいるのか、不自然なほどに投げたボールが即座に返球される……奇妙な光景。

これはきっと、青空の下で堂々とキャッチボールをした経験がギルにないゆえに、想像力の欠如がビジュアル化されてるのかな?と思いました。
「アハハハハ…」と笑いながら淡々とボールを投げ、受ける様子がシュールです。
裏切り者でありながら、どこか憎めない、切ないキャラが描かれてます。


(6)レジスタンスのリーダーはシニカルジョークがお好き

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ついに政府に捕まってしまったクローンたちのリーダー、セドリックとソフィア。
獄中の彼らに、人間でありながら支援し続けてきた大富豪のマックスが面会に訪れます。

相当な根回しを経て、この面会を実現したと思われるマックスに対し、セドリックとソフィアは「君の財力なら、ワケもなかっただろう?」と軽口で出迎えるシーンに、彼らの絆の深さが見てとれます。
それにしても、マックスは一体どのようにしてこれだけの財力を手に入れたのでしょうね? 若き日の描写からは想像もつきませんが、相当な努力を重ね、清く強いハートを持ち続けてきた立派な人物なのでしょう。だからこそ、セドリックたちのシニカルジョークも笑って許せちゃうんですね。
器がデカイ!
個人的にはマックスを主人公にしたスピンオフ作品が見たい気持ちです。


まとめ


以上、中島央監督の近未来SF『シークレット・チルドレン』の中から、6つの気になるシーンをセレクトしてみました。
本作は、全体の世界観や規模感の映像表現を極力けずり、限られた空間の中での登場人物たちの「間」と、ミステリアスな会話を通して、観賞者の想像力に訴えていく小説のような作品だと思います。

他にも登場人物のセリフや背景など掘り下げてみたくなるシーンがたくさんあるので、ぜひ探してみてください!

>>映画『シークレット・チルドレン』公式サイトへ

この記事の筆者

鈴木健介(アミケン) / Kensuke Suzuki

1977年 大阪生まれ。編集者 & セラピストのパラレルキャリア。
合同会社GX代表 / オウンドメディア勉強会幹事 / PRSJ認定PRプランナー / 趣味:阿波おどり
操体法は 私の曾祖父、橋本敬三が考案した健康法です。
SOTAI is a movement therapy that was invented in Japan to heal your body naturally.

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