西欧で広がる操体 / Sotai World Wide

SOTAI SALON TOKYOのアミケンです。

私が師事する関西操体ネットワーク・北田洋三先生による、ポルトガル遠征のレポートが、操体法の機関誌「イサキ No.216」に掲載されました。出版元の温古堂から許可をいただきましたので、その転載とともに、今回のヨーロッパ普及ツアーのご報告を改めて書かせてもらいます。

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西欧で広がる操体

(筆:大阪府 北田洋三)

2015年7月4日、5日の2日間にわたり、ポルトガルの首都、リスボンで操体国際会議(ENCUENTRO INTERNACIONAL 2015)が開催されました。主催のロジェリオ・モッティ氏、隣国※スペイン操体協会代表のニコラ・ディミトルフ氏の呼びかけにより、ポルトガル、スペイン、イタリア、スイス、ベルギー、ドイツといった西欧各国で操体を学ぶ施術家、臨床家がおよそ六十名集まりました。

全国操体の会に講師派遣の要請があり、今回は日本から講師として、温古堂の橋本千春さんと小生を招聘いただくことになりました。東京から鈴木健介さんにアシスタントとして同行してもらいました。

会場となったのは、リスボンより列車で三十分、大西洋が眼前に広がる海辺の街カルカヴェロスのリゾートホテル。日中は温暖ながら、朝夕は長袖一枚を羽織る程度に涼しい快適な気候でした。国際会議の前後には、現地スタッフの方々によるおもてなしで、リスボン市内観光へご案内いただきました。トラムに乗り、高台より歴史的な旧市街の眺望をながめ、現地の魚介料理などを楽しませていただきました。

国際会議では、橋本千春さんより操体の歴史、息・食・動・想をはじめとした基本概念、生前の橋本敬三先生の診療所でのご様子を映像等を交えて講話していただいた後、実技講習へと進行しました。基本的な視診、触診、動診をはじめ、身体の左右差の形態観察・評価、連動の重要性を重点的に指導してまいりました。受講者は皆さん大変熱心で、積極的な質問も数多くいただきました。操体の基本である原始感覚を大切にするところは洋の東西を問わず共通していますが、西欧で操体を学ぶ若い方々は、解剖学と運動力学に基づき、マクロとミクロ、つまり巨視と微視の観点から学術的な研究をさかんになさっている印象を強く受けました。彼らの姿勢から日本側も見習うべき点は多くあるように感じました。

今回の国際会議を通じ、橋本敬三先生が戦前より考案された操体が、このように西欧で広がりを見せていることに大変感銘を受けました。その礎を築かれた日西指圧学院 小野田茂先生のご功績と情熱にも感謝と敬意を表したいと思います。

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※小野田茂氏が1994年に開院された日西指圧学院において、指圧授業の補助として操体法が導入された。2006年卒業生を中心にスペイン操体協会が設立された。

引用元:イサキ No.216


>> (参考)ポルトガルから帰国しました | SOTAI TIMES

ヨーロッパからの感想メッセージ

今回の操体国際会議の主催者のひとり、ポルトガルのロジェリオ・モッティ氏から後日私宛に届いたメッセージです。 isaki216_03.jpg 「健介先生、今回は操体法の創始者・橋本敬三先生のファミリーである貴方と、橋本千春先生、そして偉大なる北田先生に日本からお越しいただき、本当に感謝いたします。ヨーロッパ各国からポルトガルに集まった生徒の皆さんも、とても満足していました。操体の成り立ち、歴史、コンセプトを知る良い機会となりました。これからも操体を学び続けたいと思います。貴方達に神のご加護を。」


そしてもう一人、スペイン操体協会のニコラ・ディミトルフ会長からのメッセージです。
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「健介先生、2015年度のリスボン操体法国際会議における貴方たちの協力に感謝を申し上げます。今回、日本から来ていただいた先生方のご指導はとても丁寧でわかりやすく、大変有意義な時間になりました。私たちからの質問にも、決して上から目線ではなく、親切にこたえていただき感銘を受けました。橋本敬三先生の教えを正しく受け継いでおられる方々は、人柄も優れているのだと感じました。今後も温古堂を中心とした日本の"全国操体の会"とより一層親交を深めていきたいと思います。引き続きヨーロッパでの操体の普及にお力添えをよろしくお願いします。」


動画&写真レポート


最後に、動画と写真による現地での様子を、ごく一部ではありますがご紹介します。

isaki216_021.jpg北田先生による実技指導

isaki216_022.jpg橋本千春先生による講義

isaki216_023.jpg私は主に通訳&アシスタントとしてサポートさせてもらいました

isaki216_026.jpgヨーロッパの方は非常に質問熱心です

isaki216_025.jpg今回はポルトガル語、スペイン語、英語が飛びかう会合でしたが、現地通訳さんのおかげで滞りなく進めることができました。
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>> SOTAI OSAKA 2017ゴールデンウィーク

イサキとは?

仙台の温古堂事務局が隔月発行している、操体法の機関誌です。
「イサキ」とは日本古代のカタカムナ文明で「元気」という意味です。
操体の考案者である橋本敬三先生の基本概念の他、全国の操体関係者の方々の活動レポートやコラムなどが掲載されています。

この記事の筆者

鈴木健介(アミケン) / Kensuke Suzuki

1977年 大阪生まれ。編集者 & セラピストのパラレルキャリア。
厚生労働大臣認定 あん摩マッサージ指圧師 / 合同会社GX代表 / アミケン編集塾 塾長 / PRSJ認定PRプランナー / 日本指圧専門学校 61期卒 / 趣味:阿波おどり
操体法は 私の曾祖父、橋本敬三が考案した健康法です。
SOTAI is a movement therapy that was invented in Japan to heal your body naturally.

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