私の開業奮闘記(同窓会会報より)

日本指圧専門学校の卒業生を会員とする「同窓会」の会報誌 第42号(令和3年5月1日発行)に寄稿させていただきました。

転載の許可をいただきましたので、紹介させていただきます。
卒業生はもちろん、現役の在校生の方々の参考になれば幸いです。

私の開業奮闘記 ~61期生 鈴木健介

座右の銘は「旅するように暮らし、暮らすように旅する」。ふわふわと半生を送ってきた私にとって「指圧院の開業」という選択は大変挑戦的で革新的なものでした。ご縁があって3年間学ばせていただいた浪越学園の卒業タイミングと、新型コロナウイルスの大流行という未曾有の災厄が重なってしまい、この原稿を書いている時点では、2回目の緊急事態宣言の真最中です。よもやよもやの世知辛さ。私だけでなく会友の皆様ならびに在校生、特に国家試験に挑んだ受験生の皆様、そして教職員の皆様も何かとご苦労されたこととお察しいたします。さてさて、大変恐縮ながら東京都渋谷区に作夏オープンした私の「アミケン指圧院」の開業奮闘記を、このたび寄稿する機会をいただきました。一事例としてご覧いただければ幸いです。


もともと私はメディアの編集者です。健康・医療の分野について「根拠に基づく正しい情報」「良心的で明確なわかりやすい情報」を発信することが世の中をより良くし、健康で楽しく長生きする人を増やすことに繋がるのだと、使命感を持って活動してきました。メディアを通じて何万の人に情報を伝えることも大事ですが、目の前にいる1人の人間の笑顔をみることにも大きなやりがいを感じ、国家資格あん摩マッサージ指圧師の資格取得を目指すことにしたのが2016年のことです。


「国家資格を取得したら、なるべく早く開業する」それが在学中におぼろげに描いていたプランでした。実際には浪越学園を卒業後は少しリフレッシュ期間を設け、海外旅行や東京2020オリンピック・パラリンピックを楽しみつつ、1年がかりで開業準備を進めるつもりでした。しかしコロナの影響により公私ともに様々な予定は停滞し、他に特にすることもありませんでしたので、自然と開業計画に集中・加速することになっていきました。


「商用利用可」「駅徒歩5分以内」といった条件で不動産情報を検索していると、都心部でありながら明治神宮、代々木公園、新宿御苑の緑に囲まれた、落ち着いた雰囲気の素敵な物件に出会いました。これも何かの縁。内覧を申込んでからはトントン拍子に契約手続きへと進んでいきました。不動産会社の担当者によると、ちょうどコロナの影響で取引マーケットが停滞中。交渉するには意外と良い状況だというお話でした。


在学中のことですが、小林秋朝先生から「3つの愛」というお話をしていただきました。指圧師としての仕事を愛すること、地元を愛すること、伴侶家族を愛すること。これは生前の浪越徳治郎先生が説かれたお話とのことです。私は開業計画を進めるにあたり、この「3つの愛」の実現を軸としました。仕事としての指圧を愛するには、日々の精進により確かな技能を修得し、患者様の笑顔を通して自信を深めていくしかないと思っています。卒業後は、家族や友人を相手に模擬実習を重ねました。また小林秋朝先生には個別指導をお願いし、地元密着で活動するとはどういうことか、家族から理解を得て協力してもらうにはどうすれば良いのか、何度もご相談に乗っていただきました。準備期間にいただいた様々なアドバイスは大きな心の支えとなりました。本当に感謝しています。


物件が決まり、2020年のお盆明けにオープン日を定めてからは、内装作業や販促物・ウェブサイト制作などに没頭しました。指圧院はアットホームで清潔感があり、なおかつ若い人にも指圧に親近感をもっていただけるようなテイストを目指し、コンセプトを固めていきました。渋谷区の保健所担当者はとても親切丁寧で、事前相談から立入検査まで非常に円滑に進行しました。一方で物件の方は管理組合の規則が細々とあり、看板設置の方法などで少々苦労したものの、無事にオープン日を迎えることができました。地元の商店会にも入会し、オープン直後には商店会長さんが早速来院してくれました。浪越和民理事長からは開店祝いのお花を贈っていただきました。多くのご縁に支えられ、おかげさまで開業指圧師としてのスタートラインに立つことができました。


「コロナ疲れ等の反動で、健康的な日常を希求する方々の寄り所となる指圧院を、このタイミングで構えておいて良かったね!」……と、いつかそう振返られる日が来ますように。今はそれを信じて日々の種蒔きにいそしんでいます。まだまだ至らないことは多々あり、日々何か少しずつでも改善できることはないか模索しているところです。先輩後輩問わず、ご都合がつきましたらぜひ様子を見に来ていただけたら幸いです。またYouTubeInstagramといったSNSを活用した指圧のPR活動も、長期的に考えれば指圧界全体にとって大切なことだと考えています。一緒に何かアクションを起こしたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。
日本指圧専門学校同窓会におかれましては、コロナの収束状況を見計らって、文化部の交流会を含め各活動が順次再開されることと存じます。その際には、また皆様とお会いできることを楽しみにしております。

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この記事の筆者

鈴木健介(アミケン) / Kensuke Suzuki

1977年 大阪生まれ。編集者 & セラピストのパラレルキャリア。
厚生労働大臣認定 あん摩マッサージ指圧師 / 合同会社GX代表 / アミケン編集塾 塾長 / PRSJ認定PRプランナー / 日本指圧専門学校 61期卒 / 趣味:阿波おどり
操体法は 私の曾祖父、橋本敬三が考案した健康法です。
SOTAI is a movement therapy that was invented in Japan to heal your body naturally.

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